ジオン注射(ALTA療法)
いぼ痔の中でも特に軽度の内痔核(内側のいぼ痔)に有効な治療法で、切開する必要がなく、注射だけで治すことができます。入院の必要がなく外来で受けることができ、治療中や治療後の痛みがほとんどなく、出血や感染リスクも抑えられる、画期的な治療法として普及してきています。ただし、外痔核は適応外です。
当院ではいち早くこの治療法を取り入れて、多くのいぼ痔を治療した実績があり、どのような痔核に適しているか精通しております。ジオン注射単独の日帰り手術は、生活への影響もほとんどないため、お忙しい方にもおすすめできます。
内痔核(軽度)の治療に効果的です
ジオン注射(ALTA療法)は軽度の内痔核に特に適した治療法で、以前は負担が大きい手術が必要だった脱出を伴う内痔核のいぼ痔を切らずに治すことができます。注射のみで複数の痔核に対しても治療が可能で、治療中や治療後の痛みはほとんどないので入院の必要がなく日帰りで手術が受けられます。ただし、ある程度進行してしまった内痔核には従来どおりの切除を伴う手術をお勧め致します(下記のデメリットを参照してください)。
このような方におすすめの治療法です
- 座薬、軟膏でも痔の症状が改善されない
- 排便時に出血が起こる
- 排便後に脱肛するが、自然に元に戻る
治療内容
注射は痛みを感じる知覚神経がない粘膜にある内痔核へ行いますので、注射による痛みを感じることはほとんどありません。
ジオン注射療法では、ひとつの痔核に4か所注射を行う四段階注射法を用います。痔核上側の粘膜下層、痔核中央の粘膜下層、痔核中央の粘膜固有層、痔核下側の粘膜下層と順番に薬剤を注入することで十分に浸透させます。治療後は約60分ほど安静を保ち、異常がないことを確認したらご帰宅できます。
ジオン注射で使われる薬剤
薬剤の有効成分は、出血や脱出を改善する硫酸アルミニウムカリウム水和物、その働きを調節するタンニン酸です。ALTA(アルタ)という名称は有効成分の頭文字から付けられたものです。
ジオン注射が受けられない方
- 妊娠中、もしくは授乳中の方
- 透析を受けられている方
- 前立腺がん等で放射線治療を行ったことがある方
- 潰瘍性大腸炎の方
- お子様
- 嵌頓痔核の方
ジオン注射の流れ
Step1
治療の前に、仙骨硬膜外麻酔というブロック麻酔もしくは局所麻酔で、肛門括約筋の緊張を弛緩させます。
Step2
麻酔の効果を確認したら、ジオン注射による治療を開始します。1つの痔核に対して、上極部粘膜下層・中央部粘膜下層・中央部粘膜固有層・下極部粘膜下層の4ヵ所に分割して注射します。位置や深さ、角度などに正確さが求められる治療ですので、有資格者である経験豊富な医師が慎重に行っています。注射部位の薬液が痔核内に均等に分散するように、患部をよくマッサージします。麻酔から治療終了までの所要時間は30分程度です。
Step3
注射後は徐々に出血が止まりはじめて、脱出も少しずつ解消していきます。
Step4
脱出しなくなるまでには、平均して1週間から1ヶ月程度かかります。個人差はありますが徐々に脱出がなくなっていきます。
※ジオン注射は内痔核に有効な治療法です。
ただし、内痔核に伴って外痔核などの肛門の皮膚部分にも腫れがある場合、ジオン注のみでは直ぐに再発してしまう場合があります。そのような場合は、当院では通常の四段階注射法に皮膚部分への一定量切除を加えたジオン注の治療も可能です。
ジオン注射のメリットとデメリット
メリット
- 従来であれば手術でしか治療できなかった脱出を伴う軽度の内痔核や出血性内痔核を、注射だけで治療できる。
- 切開をしないため、お身体への負担が軽減でき、治療中や術後の出血、感染リスクを大幅に抑えられる。
- 入院せず、日帰りで治療を受けられるため、生活への支障がほとんどない。また準備やその後のフォローも必要がないため、お気持ちの負担軽減にもつながる。
- 治療の所要時間は麻酔を含めて約30分と短く、お身体への負担が軽減できる。
- 治療費用で大きな割合を占めていた入院費が必要なく、ジオン注射自体に健康保険が適用されるため、経済的な負担軽減にもつながる。
デメリット
- 脱出を伴う内痔核でも、症例によってはジオン注射による治療が適さないケースがある。その場合、手術、あるいはジオン注射と手術のハイブリッド治療が選択されます。
- ジオン注単独の治療では、約10~40%の再発率があるとされている。
- ジオン(ALTA)を患部に注射する四段階注射法は、高度な技術や知識が必要な治療法であり、専門的な研修を受けた医師にしか許されていないため、肛門科でもジオン注射を行っていない可能性があり、どこでも受けられる治療法ではない。
当院では、専門的な研修を受けた熟練した医師が、ジオン注射を数多く行ってきています。安心してご相談ください。
治療後の注意点や副作用について
ジオン注射の副作用として可能性があるのは、注射した部分の痛み・腫れ、発熱、違和感、肛門部分を重く感じるなどです。
その他、細かい注意点を含め、事前に詳しくお伝えしていますので、気になることはなんでもお尋ねください。
費用
手術内容 | 手術費用 |
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ジオン注射(ALTA療法) | 約20,000〜約35000円 |