直腸癌外科的治療の最前線

2015年02月20日

今回は日本の肛門温存手術のパイオニアであるがんセンター東病院大腸外科 斎藤典男先生を、私が理事の末席を務める伝統ある松戸市消化器病研修会にお招きし、下部直腸がんの最新外科治療がテーマに講演して頂きました。

永久人工肛門を余儀無くされていた下部進行直腸癌(癌の下縁が肛門縁から4、5cm)の多くはISR(内肛門括約筋切除:直腸の壁の筋肉は、内肛門括約筋と外肛門括約筋の二重構造になっていて、肛門に近いほうの内側の内肛門括約筋だけ切除して肛門を残しつつ癌を安全確実に切除すること。随意筋の外肛門括約筋が残るので、肛門を締めたりする肛門機能が保たれる。)によって肛門を温存できるようになりましたが、肛門機能や局所再発(癌を切除した部位や周囲のリンパ節や神経などに再発し、狭窄や出血、疼痛をおこすこと。これに対し、肝臓や肺に転移することを遠隔転移という。)制御が今後の課題という趣旨でした。術前放射線化学療法(手術の前にある一定期間、抗がん剤を投与(内服もしくは点滴による多剤併用が一般的)しながら、骨盤に放射線を照射する術前治療)は、手術単独よりも有意に局所再発率を低下させ、肛門を温存できるようになりましたが、便失禁など術後の肛門機能には満足できる状態とは言えないのが現状のようです。そこで放射線照射を行わず、術前化学療法(抗がん剤投与)のみ行い手術を行う試みが行われ、良好な結果が得られているとのことでした。また、high risk stageⅠ(内視鏡下に切除さ病理検査でも取り切れているけれども、粘膜下層深部浸潤癌(癌は粘膜から発生して次にその下の層の粘膜下層に浸潤するが、粘膜下層の浅い層であれば、癌は転移しないとされているが、深いとた大腸の壁の外にあるリンパ節に転移しだす。)など診断され、外科的追加切除が必要とされるレベルの大腸癌。)についての試みについてのお話しもありました。ガイドラインでは、外科的追加切除が必要とされても、肛門に近い癌であったり、高齢や合併症などで手術を躊躇う場合が、臨床の現場では少なくありません。そのような患者さんをどうするのかということは、内視鏡切除が盛んに行われ、高齢化社会を迎える日本にとって重要な課題です。試みの結果発表は未だですが、放置すると局所再発は高率ですが、術後に軽い化学療法と放射線照射すると局所再発はかなり抑えられるようですので、今後臨床の現場で選択肢の1つとして挙げらるれるようになると患者さんにとっても、医師にとっても喜ばしいことと言えます。

今後も内科、外科に拘らず大腸癌の最新情報を提供してまいりますので、ご期待下さい!

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