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痔ろう

痔ろう(あな痔)

痔瘻痔ろうは、肛門周辺の組織に「ろう管」というトンネルができ、直腸内と肛門周辺の皮膚がトンネルでつながってしまっている状態です。発症のきっかけになるのは肛門周囲膿瘍です。肛門と直腸の境である歯状線にある肛門腺が感染して炎症を起こしたものが肛門周囲膿瘍で、化膿による膿が出口を求めて肛門周囲の組織内を進んでいき、皮膚にまで「ろう管」が伸びて全体で痔ろうとなります。
痔ろうになると「ろう管」から膿や便の汁が皮膚の外にしばしば排出されるので、下着が汚れたり不潔な状態になります。痔ろうは手術でしか治すことができません。また、大変まれですががん化する可能性もあります。

痔ろうの分類と症状

肛門周囲膿瘍

お尻の腫れが徐々に大きくなっていき、激しい痛みを伴います。また、38度を超える発熱が続く場合もあります。

単純痔ろう…「ろう管」が単純なもの

痔瘻の約7~8割がこのタイプで、内括約筋と外括約筋の間を「ろう管」が貫いて走行する

複雑痔ろう…「ろう管」が複雑なもの

皮膚への出口が複数あったり、外肛門括約筋の外側などに「ろう管」がこえて伸びるもので肛門の後方を複雑に走行するタイプ。クローン病の一症状のこともある。

肛門周囲膿瘍の手術

切開排膿術

局所麻酔で腫れている部分を切開し、たまっている膿を排出します。日帰り手術が可能ですが、深部膿瘍(おしりの深い部分に膿瘍ができた場合)は腰椎麻酔が必要な場合もあります。 皮膚の毛穴から細菌感染して形成された肛門周囲膿瘍は切開のみで治癒しますが、痔ろうの場合、切開して約4割程度が「ろう管」を形成し根治手術が必要になります。

痔ろうに対する手術

切開開放術

切開開放術「ろう管」を切開し、縫合せずに瘻管を開放させるので、lay open法ともいいます。括約筋を切除しても肛門機能に問題が起こらない肛門後方部の単純痔ろうに向いた手法で、再発はほとんどみられません。日帰り手術が可能です。

括約筋温存手術

括約筋を切断せずに、なるべく他の組織を傷つけないように「ろう管」のみを切除する方法で、くりぬき法(coring out法)ともいわれていますが、手術の難易度が高くなる場合もあり、再発が問題になります。充分な肛門の弛緩が必要なので、腰椎麻酔による入院治療が必要です。

シートン法

シートン法肛門機能の温存効果が高い手法です。瘻管の原発口である肛門陰窩からゴムや紐状の医療器具を入れて皮膚に開いた穴まで通し、縛ることで徐々に切開と治癒を進ませてダメージを最小限に抑えます。ただし、平均して数ヶ月程度の治療期間が必要になり、その間何度か 通院して締め直す必要があります。瘻管の状態によって治療期間はかなり異なってきます。また、締め直す際には違和感や痛みを生じる可能性があります。