便潜血検査とは
早期の大腸がんにはほとんど自覚症状がありませんが、便が擦れて微量の出血を起こすケースがあります。微量の血液は便の見た目では判別できませんが便潜血検査を行えば確認できます。便潜血検査は肉眼ではわからないほど微量の血液が便に混じっていないか、採取した便に試薬を混ぜて変化を観察することで確認します。ただし、陽性になった場合、消化管の口から肛門までのどこかに出血があるということであり、大腸がんかどうかは内視鏡検査をしないとわかりません。
便潜血検査と大腸がん
大腸がんの検診では便潜血検査が広く行われていますが、便潜血陽性の場合は大腸内視鏡検査が必要ですが、便潜血検査では陰性でも出血を起こさない大腸がんが潜んでいる可能性があります。便潜血検査は検査費用が安価で、便を採取するだけですから手軽ですし、大腸がん死亡率減少効果が証明された唯一のスクリーニング検査法です。
ただし、便潜血検査陰性でも大腸がんがないということではないことをしっかり理解し、腹部膨満感、便秘や下痢を繰り返すなどの排便異常や排便時出血などの症状がある場合、大腸ポリープの既往や大腸がんの家族歴がある方はなるべく早期に大腸内視鏡検査をする必要があります。
早期発見と治療による完治や予防につなげるためには、定期的な大腸内視鏡検査が不可欠です。
検査方法
便潜血検査は『2回法』が主に行われています。1日1回、2日分の便を採取することで検査精度を上げる効果が期待できます。なお、便に含まれている血液は1週間経過すると残存率が半分になってしまいます。そのため、便の採取は検診日から1週間前までに行わなければ精度が大きく下がってしまいます。
便潜血検査、陰性と陽性
便潜血陰性
ほとんどの早期大腸がんやポリープでは、便潜血検査で陽性になることはありません。また、進行した大腸がんの場合も、硬い便が擦れる場所になければ陰性となる場合があります。陰性でも大腸がんリスクが上昇しはじめる40歳を超えたら、大腸内視鏡検査で粘膜の状態を確認しましょう。
便潜血陽性
便潜血検査で陽性を指摘された場合、口から肛門まで消化管のどこかから出血が起こっています。痔をはじめとした良性疾患の可能性がありますし、特に疾患がないことも考えられますが、大腸ポリープがあれば、切除することで大腸がんの予防につながりますし、もし大腸がんによる出血だったとしてもそれ以上進行させずに速やかに治療を開始することが重要です。できるだけ早く内視鏡検査を受けて、確定診断につなげましょう。
検査で陽性が出た方
陽性は消化管のどこかで出血が起こっているということですが、便潜血検査では出血部位の特定や疾患の確定診断はできません。内視鏡検査は粘膜を直接観察することで出血部位を確認できますし、病変の特徴や組織採取による確定診断が可能です。できるだけ早く消化器科を受診して、内視鏡検査を受けましょう。